花粉グッズ 食品編:花粉症対策 グッズ・お茶・注射まで

花粉症対策と食生活

花粉症の原因のひとつに食生活があげられる.

戦後の日本ではそれまでの魚と野菜中心の食生活に代わって,肉や魚を中心とした高たんぱく,高脂質の欧米型の食生活が急激に広がっていった.

この欧米型の食生活が栄養の取りすぎや食品添加物の増加,野菜不足など,アレルギー症状を引き起こすさまざまな問題を抱えているのだ.

油の問題もそのひとつだ.

日本人はもともと油をあまりとらない人種だが,食生活の欧米化にともない料理で使われる機会が大幅に増えました.

油は私たちが生きていくのに欠かせない栄養素を持っているが,油の取りすぎは血液をどろどろにしたり,炎症を強めたり身体に悪影響を及ぼしたりする.

そのため花粉症の人は油を使用する場合にはオリーブオイルを使い,揚げ物,ドレッシング,マヨネーズ類を取り過ぎないように気をつけることが大切だ.

こういったものを取らなくても,必要な油は通常の食事で不足することはない.

また砂糖,チョコレートなど口にする機会が増えたことも問題のひとつだ.

砂糖は免疫力を低下させ,花粉症をはじめとする,多くの病気の原因になっている.

花粉症の人は,甘いものが食べたい時には,果物,ドライフルーツ,また砂糖の変わりにハチミツ,黒砂糖を使うなどして砂糖を控えるよう心がけよう.

日本はかつてご飯と魚,野菜,味噌やしょうゆなどの発酵食品が毎日の食事だった.

この伝統的な組み合わせこそが栄養のバランスに優れ,日本人の体質に合った食事なのだ.

花粉症には昔ながらの日本の食生活を見直すことが有効な対策といえるのだ.

花粉症対策と身近な食品

花粉症の人が積極的にとりたい食品は「温性食品」だ.

温性食品とは基本的に秋冬が旬のもの,根菜類,薬味などがあたる.

具体的にどんなものがあるかというと,野菜では,ネギ,ピーマン,タマネギ,ニンジン,レンコン,ショウガ,ニンニク,ジャガイモなど,肉なら,鶏肉,羊肉,魚なら,アジ,フグ,ウナギ,エビ,サバなどだ.

こういった食品は身体を温める性質があり,「冷え」が大敵である花粉症に効果が期待される.

また青魚も多くとりたい食品のひとつだ.

青魚に含まれるDHAは炎症を引き起こす悪玉コレステロールを減らし,善玉コレステロールを増やす働きがある.

血行をよくし,アレルギー反応を抑制する働きをもつEPAも含まれており,花粉症の人には最適な食品といえる.

これらは体内で作ることはできないため,積極的に日々の食事からとるよう心掛けが必要だ.

青魚以外に鮭も花粉症に効果的な魚だ.

鮭の優れている点はDHA,EPAに加え,中枢神経の働きを正常にするビタミンB6を豊富に含んでいるということだ.

また完全栄養食品として知られるカキも花粉症にもよい食材といえる.

カキに含まれるグリコーゲンは体力を回復させ,自然治癒力を高める効果がある.

そして亜鉛は鼻や目の粘膜を強化する働きがある.

他にも花粉症に効果のある身近な食品は,玄米,ヨーグルト,きな粉,ピーナッツ,納豆,トマト,シソなど数多くあり現在も研究が進められている.

身近な食品による花粉症対策は,医師が処方する医薬品と違い副作用の心配が無く子どもや妊婦に対しても安全といえる.

体質や花粉症のタイプによって効果の期待できる食品は違うため,自分でいろいろ試し自分に合った食品を見つけるといいろう.

花粉症対策と乳酸菌

花粉症対策のひとつとして最近話題となっているものに「乳酸菌」がある.

乳酸菌は私たちにとって有益な微生物のひとつでさまざまな種類がある.

乳酸菌にはそれぞれ特性があり,その特性を活かしてヨーグルト,チーズなどの乳製品,また味噌やキムチなどの発酵食品に利用されている.

これまで乳酸菌といえば腸内環境を整えて便通をよくする働きが知られていた.

近年では飲料会社の研究により花粉症の症状を軽減する機能や,新しい種類が発見され注目を集めている.

そのひとつとして,キリンビールは2002年に高いアレルギー改善作用が期待される「KW乳酸菌」を発見している.

またカルピス社は2006年に人工曝露実験によって「L-92乳酸菌」が鼻のかゆみ,目のかゆみといった花粉症の症状に効果があることを実証した.

こういった乳酸菌を利用し,今後さまざまな花粉症対策の商品が開発されることが期待されている.

この花粉症に有効とされる乳酸菌は,細菌やウィルスを攻撃するリンパ球Th1とアレルギーの原因となるリンパ球Th2,この2つのバランスを保ち,アレルギー症状が起こりにくい環境をつくる働きがある.

全ての乳酸菌にこのような機能があるわけではないため,ヨーグルトを食べて予防をしたいという場合にはヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類を確認する必要がある.

乳酸菌の効果は即効性があるものではないため,花粉の飛散時期の1ヶ月前くらいから継続してとることが望ましいと言われている.

また,ヨーグルトを食べつづけると下痢を起こす人や,乳製品アレルギーの人はサプリメントタイプのものから摂取することもできる.

花粉症対策とお茶

花粉症の季節になると花粉症対策に色々なお茶が話題に上がるが,その中でも実際に効果が期待されるものを次に取り上げました.

まず緑茶,これに含まれるカテキンはがん予防としての効果が知られているが,花粉症にも効果があることが分かってきた.

しかし効果を得るためには大量に飲む必要がある.

大量飲めない人はうがいに利用したり,カテキン成分を抽出したサプリメントで摂取する方法もある.

甜茶は花粉症対策としては最もポピュラーなお茶で,耳鼻咽喉科臨床学会でも抗アレルギー効果が報告されている効果の高いお茶だ.

甜茶に含まれる甜茶ポリフェノールという成分がヒスタミンの分泌を抑え,花粉症のみならずさまざまなアレルギーに効果を発揮する.

甜茶には種類がいくつかあるため,甜茶ポリフェノールが含まれているか確認して選ぶことが大切だ.

また,まがい物が多くでているので注意が必要だ.

テレビなどで取り上げられた人気のお茶,べにふうきも花粉症対策に効果が期待されている.

このお茶は日本の「べにほまれ」と中国の「ダージリン」を交配してつくられたもので,抗アレルギー成分のストリクチニンを含んでいます.

実験でべにふうきを飲んだ約半数の花粉症患者の症状が改善されたという報告がある.

他にも花粉症に効果のあるお茶はドクダミ茶,ハトムギ茶,シジュウム茶,ルイボス茶,そば茶,ヨモギ茶,凍頂烏龍茶,柿の葉茶,タラ葉茶,スギナ茶など数多くある.

いろいろ試した上で自分に合ったお茶をみつけて毎日習慣的に飲むといいろう.

花粉症対策と花粉症緩和米

現在,日本で1700万人以上が苦しみ,もはや国民病ともいえる花粉症対策は国や自治体レベルで取り組む問題となってきている.

農林水産省では所轄の研究所で「スギ花粉症緩和米」の開発にむけて研究を行っている.

この「スギ花粉症緩和米」とは食べるだけで花粉症の症状がよくなるという便利で画期的な米だ.

そのしくみは米の遺伝子を組み替え,中にスギ花粉の抗体を入れ込んだ米をつくるというものだ.

そしてその米を毎日食べ続けると,免疫作用により徐々に体がスギ花粉に慣れて症状が軽減するという効果があり,「経口減感作治療法」のひとつだ.

一日に一合ほど食べ続けると数ヵ月後には症状が改善されるというもので,既に動物実験では効果が確認されている.

ご飯として食べることは,注射やのみ薬に比べて簡単で,また病院に通う必要も無く,花粉症の人にとって負担の少ない治療法だと考えられる.

一方で遺伝子組み替え作物の普及に反対する声や,新しいアレルギーを心配する声もあり,実用化されるまでにはさまざまな課題がある.

当初食品として開発されていたこの「スギ花粉症緩和米」は,厚生労働省により「医薬品として取り扱うべき」という判断を受け,医薬品としての開発に方針を変更した.

このことで実用化は当初の予定より遅れている.

この「スギ花粉症緩和米」は今も尚,安全面での研究が進められており,すべての面で安全面が確認されたとき,花粉症で苦しむ人たちの有効な対策になると期待されている.